どうなの⁉夫婦でベトナム移住って

異国で住む・働く・遊ぶ・育てる。家族でつづる旅と日常の間。実験的日本脱出記&雑記

連続ブログ小説「健康で文化的な最低限度の通勤」第9話(完結編)~まさかの時間厳守&報連相完璧ドライバー!ベトナム期待の星!~

電車のないベトナムでは、安全にかつ安定的に通勤できる手段を得るのに苦労します。本シリーズでは、わたし(よめ)が2年を通して、ベストな通勤手段を得るために奮闘した記録をお届けします。ベトナムの交通事情はもちろん、ベトナム人との交渉ノウハウ、彼らの損得勘定や価値観までが見えてくるかもしれません。在住者目線でよりディープなベトナムを体感ください!

連続ブログ小説「健康で文化的な最低限度の通勤」第8話~先にはろたらアカン~♪でも最後くらいキレイな嘘をついて・・・~ -

 

前回、そうなるとは思っていたもののお金を預けたままドライバーに逃げられた後、数日後にまたアプリで新しいドライバーをスカウトした。

前の事があるので慎重にやっていこうと襟を正した。
今回の人は、NDN(お金返してくれなかった人)より安全運転で希望価格も最初からNDNの90%とお得!でもいい人そうなのと、毎日来てもらう約束料を込めてNDNと100%同じ値段で設定した。

人相がよく、優しい穏やかなおじさんは、恐縮したように何度も頭を下げてくれる。
来週は水・木・金曜日に、夏休み中の子供を連れて旅行に行くので休みたいとのこと。月曜に言ってくれてもいいのにっ☆
新しい出会いにホッコリしつつ、先払いは封印しようと誓った。

結果としてはその後、私は産休のため帰国するのだが、それまで4ヵ月毎朝送ってもらい帰国日までトラブルなく過ごせた。(第7話の教訓として夕方は頼んでいない)

 

彼の名はTuan(トアン)さん。私の一回り上で、3人のパパ。親の代からずっとハノイ市内に住んでいて道も詳しくしっかりと地域に密着した生活を送っている。いつもニコニコしていて、なぜかよく会釈してくれる(ベトナムに頭を下げる文化はない)
トアンさんにお願いしたのは2点。

 ①毎朝、6時半に家の前で待っていてください。
 ②休む時は事前に連絡してください。

そして帰国までずっとこの2つの約束を守って毎日来てくれた。これは会社間で契約した送迎会社の専属ドライバーなら当たり前だが、一般の人との個人交渉では奇跡に近いことだ。 

まず①について、時間を守らない人が多い。守っても5~10分くらい遅れるのは普通。気分で来ないとか、急に自分の家庭の都合を優先させる人も多い。(家庭の都合って急病じゃなく田舎に帰りたいとか)しかしトアンさんは、毎朝5~10分前に着て家の前の湖を眺めて優雅に時間を過ごしていた。こんなに余裕をもって行動できるなんて、本当にめずらしい!駆け込み乗車する日本人も学ばなければ。。。

そして②について、これも難しい報連相。細かいことを気にしていない人が多いので、事前に連絡をしてくれない人が多い。出勤時間になってこっちから電話すると「あ、忘れてた」「あ、寝過ごした」「ちょっと用事」「雨だし」(いや、雨こそ来てくれよ!!ラッシュ時なんかタクシーもつかまらなくなるじゃん!)とか。しかしトアンさんは、分かった時点ですぐ予定を教えてくれ、直前にリマインドも忘れない。まるで予定管理ツールのような人だ。
一度、車が擦られた時もとりあえず私を送ってから「明日は修理に行くから直らなかったら明後日も休むかもしれないよ、その場合はメッセージするからね」と。もちろんしっかり前の晩に連絡がある。そして私は朝に余裕をもって自分で代車を探すことができるのだ。

 

それって普通じゃない?と思われるかもしれないが、普通じゃない。2年間、日系企業で3か国語を話すトップ大学卒業して留学経験もあるエリート達と一緒に働いているが、時間厳守と報連相が徹底できる人はごくごくわずか。毎日ふりまわされて難しさを実感してきした。そもそも文化や気候・インフラの違いなので仕方ない部分もあるが。

なので、このトアンさんの存在は私の心の支えであり、今後の希望でもあった。悪い人に裏切られても良い人に出会える日が必ず来ると。こちらの価値観も説明すれば分かってくれる人がいると。
簡単なベトナム語でも、日々の出来事を話したり、天気予報を教えてもらったり、文化や行事について教えてもらったり。ベトナム語の先生のような役割もしてくれた。離れてさびしいなと思ったドライバーさんは彼が初めて。

 入社してもうすぐ2年、このような日々をずっと夢見ていた。
電車がない国。バスが時間通り来ない国。タクシーではぼったくられる国。バイクの交通量が異常な国。交通渋滞で道路上のストレスが多い国。騒音と排ガスと向き合わなければならない国。交通ルールが無視された無法地帯でもらい事故が多い国。雨になると料金2倍でも車が見つからない国。
そんな国では安心して使える交通手段を見つけないかぎり、ハノイの中心地で働くことはできない。駐在員で社用車が毎日お迎えにくるのでなければ、現地採用は自分で足を探さないといけない。

そして今回私は1年近くベトナムを離れることになったので、しばらく彼と会えない。今度また仕事復帰後に通勤を始める時にはまたお願いしたいなと思う。
最終日は、ベトナム就職で仕事より苦労した通勤問題のクロージングとしてハノイ国際空港まで送ってもらってお別れしてきた。
最後までいい思い出で過ごせたベトナム。また帰りたいです。
Hen gap lai!!

 

~完結~

   

(よめ)

 

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大雨の後の帰宅ラッシュ。渋滞の上には建設中のモノレール。お願い早く完成して!

 

 

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