電車のないベトナムでは、安全にかつ安定的に通勤できる手段を得るのに苦労します。本シリーズでは、わたし(よめ)が2年を通して、ベストな通勤手段を得るために奮闘した記録をお届けします。ベトナムの交通事情はもちろん、ベトナム人との交渉ノウハウ、彼らの損得勘定や価値観までが見えてくるかもしれません。在住者目線でよりディープなベトナムを体感ください!
連続ブログ小説「健康で文化的な最低限度の通勤」第1話
~満員電車ならぬ満車道路~
「第2話」
新しい職場への通勤に疲弊して、一日中ハノイの交通について考える日々。
そんな身分ではないけれど、給料ド返しでもいいからお抱え運転手がほしい!と思っていた。毎日ベトナム語で道を指示しなくてもいいし、アプリや電話で呼ばなくてもよく、前後30分は多めにみて仕事に合わせて迎えに来てくれる人がいればなぁ。。。そして毎日2回、同じ自己紹介をさせられるのにも、もうウンザリ。
そんな矢先に、ある青年と出会った。もちろん普通に拾ったタクシー運転手である。実は写真の彼だが、大手のタクシー会社ではなく、車体にも車内もゴテゴテ装飾を施しており、見た目でまず「このタクシー大丈夫か?」という印象。そして客呼びしている彼本人も茶髪に刈上げ(アシンメトリーテクノカット?)でGパン。(ハノイのドライバーは服装はみんなカジュアル)使ってはいけない言葉かもしれないけどDQN系?と思ってしまう。
まずはお決まりの世間話。
「何人(なにじん)ですか?」「ベトナムにどのくらいいますか?」「何歳ですか?」「家族はいますか?」「仕事は?」これもう数百回はベトナム語で繰り返している。しかし、その後に彼は他の運転手とは違い、自ら交渉を持ちかけた。
「ねえちゃん、もし俺に日本語を教えてくれたら、片道タダでもいいよ。でも車中で休みたかったらメーター料金ね」「ちなみにねえちゃん飲んでるそのジュース、砂糖が多いから体に悪いよ。水飲みな!」※ベトナム語だろうが感じる喋り方のチャラさ。
笑えるくらい偉そうだけど、なんか憎めない。日本語を教えるのは体力的にも無理だし車中では声しか伝える術がない中で厳しいけど、変な子じゃなければちょっとしばらく乗車してみようと思った。
なぜなら、風貌に似合わず運転は丁寧で乗り心地が良い、小まめに時間連絡や私の勤務時間の様子を確認したりと几帳面。
既婚で29歳にして2児のパパ。生活のために勤勉=お客を逃さないようサービス精神はありそう?勤務時間は無休で6:00~22:00だそう。
そして、私のカタコトのベトナム語をかなり誘導的に理解しようとしてくれ、運転に対して細かい注文ができる。
- 南ルートより北ルートの方が近くて速い。
- 窓は絶対に閉めてほしい(排ガスを吸いたくないがハノイ人は窓を開けたがる)
- 急ブレーキや急発進を絶対にしないでほしい。(バイクに横入りされないようにキツキツの車間距離が普通)
- 遅れる場合は事前にメールしてほしい、運転手が待てるのか、または私が待つべきかなど、私が他のタクシーを捕まえてもいいか伝えてほしい。
- できたら、美味しい朝ごはんの店に立ち寄って、私が買う間は路肩で待っててほしい。
以上、無理な注文が全て伝わり、ほぼ実行してくれて、なおかつ元々安めのメーター料金からさらに10%OFFにしてくれた!!!しかも朝ごはんに美味しいおこわの店を教えてくれた、それが路地裏でめちゃ安い(肉・卵・きゅうり入りで70円)
よし、これで車内ではSNSチェックやニュースでも見て、仕事のやり残しや明日の計画を立てたら帰って寝るだけ♪♪というか安心して寝られる運転!明るい未来を想像していた。。。
が、ある朝、急に連絡なく来なくなった。
どうした!君!
第3話へ続く。
(よめ)
この時は12月で寒いのにマフラーを巻いて窓を開けたがる。
ハノイ人はオープンエアがお好き。
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